東京都写真美術館がトップミュージアムに『杉本博司 ロスト・ヒューマン』
開催中。

(2016.10.10)
 杉本博司『パラマウント・シアター、ニューアーク』2015 年、ゼラチン・シルバー・プリント ©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司『パラマウント・シアター、ニューアーク』2015 年、ゼラチン・シルバー・プリント ©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
『パレ・ド・トウキョウ』で発表の
『Lost Human Genetic Archive』の東京版。

『東京都写真美術館』が2年の準備期間を経てリニューアル・オープン。英字表記 TOKYO PHOTOGRAPHIC ART MUSEUM から文字をピックした新たなるニックネームとロゴマーク「TOP MUSEUM トップミュージアム」も発表しました。リニューアル&総合開館20周年記念プロジェクトのひとつとして現代美術作家・杉本博司さんの展覧会を開催中です。

展覧会『杉本博司 ロスト・ヒューマン』は大きく3つのパートに分かれます。3階展示室では2014年、パリの『パレ・ド・トウキョウ Palais de Tokyo』で発表された展覧会『Lost Human Genetic Archive』のインスタレーションの東京バージョン、インスタレーション・シリーズ『今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない』。そして2階展示室では世界初公開のシリーズ『廃墟劇場』と、京都 蓮華王院本堂(三十三間堂)の千手観音を撮影した『仏の海』シリーズの新インスタレーションが展開されています。

33スペース 見応えたっぷり、
滅びの美学を追求。

インスタレーション・シリーズ『今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない』では静謐な海の表情を捉えた『海景』シリーズの写真がプロローグ、エピローグ的に飾られ、壁は朽ちた塗炭で覆われ雰囲気は廃墟さながら。暗めのライティングで照らし出されるのは33のプチ・スペース。理想主義者、養蜂家、古生物学者、美術史家ら、人類最後の時に立ち会った33の登場人物の手書きの文章とそれに共鳴するモノ、写真を配置したスペースが連綿と続きます。写真を表現手段とする現代美術家としての経歴はもちろん、その活動の傍ら骨董の目利きとしても活躍していたという杉本さんのバックグラウンドも大きく感じられる内容になっています。

例えば理想主義者のスペース。床の間に第二次世界大戦時の硫黄島の古地図が掲げられ、床畳にはドイツ戦艦シャルンホルストと英国 超弩級戦艦キングジョージ5世ほか10隻のフィギュア・モデルが対峙。並々ならぬ緊張感です。手前に配される棚にはカール・マルクスの肖像、日本のポツダム宣言受諾というニュースを伝えた当時の電文。そして理想主義者による肉筆テキストが添えられています。掲げた理想のために人類は殺し合い、滅んだ……。その肉筆は批評家 浅田彰さんによるものです。

このようにテキスト+モノ+杉本さんの写真が構成するひとつひとつのスペースは、精緻な挿絵が添えられた短編を読んでいるようでもあり、33スペースの見応えたっぷり、滅びの美学を追求し尽くした展示になっています。

33の人物による人類終焉の物語はすべてカミュの『異邦人』さながら「今日 世界は死んだ」ではじまります。それぞれ異なる書き手による肉筆で、非常なる達筆であったり神経質そうな字であったりその書き手から諸々想像できるという少し文字フェチチックな楽しみもあります。

また展覧会会期中には関連イベントとして『廃墟劇場』の世界初公開を記念し、『廃墟劇場』のモチーフとなった映画作品のひとつである『羅生門』の特集上映などもあります。こちらもお見逃しなく。

●展覧会担当学芸員によるギャラリートーク
2016年10月14日(金) 14:00~
2016年10月28日(金) 14:00~
2016年11月11日(金) 14:00~
会期中の第2・第4金曜日14:00 より、担当学芸員による展示解説。
展覧会チケットの半券(当日消印)をご持参のうえ、3階展示室入口に集合のこと。

■ワールド・プレミア『廃墟劇場』初公開記念
『羅生門』特別上映@恵比寿ガーデンシネマ

映画『羅生門』(黒澤明監督、1950年)
出演:三船敏郎、森雅之、京マチ子、千秋実、上田吉二郎、本間文子、加東大介
撮影:宮川一夫
音楽:早坂文雄
1951年ヴェネチア国際映画金獅子賞、アカデミー賞名誉賞(外国語映画賞)受賞作品

上映日:2016年10月15日(土) ~21日(金)
会場:YEBISU GARDEN CINEMA (恵比寿ガーデンプレイス内)
TEL:0570-783-715(24時間自動音声案内 オペレータ受付時間:全日10:00~20:00)
*10/19(水)19:00〜杉本博司によるトーク有り。トーク終了後より上映。
*10/19(水)を除く、10/15(土)~10/21(金)の上映時間は、決定次第、劇場ホームページにて発表。
上映時間:1時間28分
料金:1500円
チケット販売:各上映日の3日前より販売(オンライン販売は3日前の0:00〜、劇場での販売は3日前の劇場オープン時間から)

■ 映画『杉本博司 作 朗読能「巣鴨塚」』上映
上映日:2016年10月29日(土) 14:00~、18:00~(各回入替制・開場は上映30分前)
会場:東京都写真美術館 1階ホール

作・構成・出演:杉本博司
作調:亀井広忠
出演:余貴美子、大島輝久 他
主催・制作:公益財団法人小田原文化財団
上映時間:1時間30分
料金:1000円
入場:当日10:00〜1Fホール受付にて整理券配布、番号順入場、自由席 、未就学児の入場不可)
問合せ:小田原文化財団  Tel: 03-3473-5235(平日11:00〜17:00)info@odawara-af.com

『杉本博司 ロスト・ヒューマン』

会期:開催中〜2016年11月13日(日)
会場:東京都写真美術館
所在地:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL: 03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00、木、金〜20:00(入館は閉館時間の30分前まで)
休館日:月(月が祝日の場合は開館、翌火休館)
料金:一般1000円、学生800円、中高生・65歳以上700円