女性のための、元気になれる俳句53 選・如月美樹 らんらんと星ひとを恋ふ籐寝椅子 橋本美代子

(2009.07.21)
 

 見るからに涼を誘う籐椅子は、大正のころから俳句に見られるようになった新しい季語。当時はモダンな印象があったという。
 掲句、「らんらんと星」で一度意味が切れる。春の淡い星、冬のきりりと光る星と違って、夏の夜空には赤っぽい星が多く、鮮やか。作者は、熱帯夜の続くころ、庭かテラスに籐寝椅子を出して涼んでいる。視線は空の星の間を漂っているが、その目の本当に見ているものは、自分の心のうちだ。
 この句を、恋する気持ちの振幅が次第に大きくなっていくのは誰にも止められない、という意味だとずっと思っていた。が、なにも男女の間だけのことに限らず、人はただ人恋しく思うこともあるのだ、ということを、年を重ねることでようやくわかってきた気がする。夏の夜空にらんらんと星が燃えるのが、自然の悠久の摂理であるように。