根本貴弘のどうニモ靴好きなもので ビジネスシューズをあなどることなかれ!

(2008.06.17)
 スポーツジムに通って運動する暇もなければする気もない。そんな世のお父様方に嬉しい健康グッズをご紹介! そう、それは高級ビジネスシューズ! 高級ビジネスシューズを健康グッズといってしまっては身も蓋もないがそう言いたくなるような感動体験を私はしてしまった。
 「ビジネスシューズをあなどることなかれ!」と、宣言しつつも一番あなどっていたのは私だった。ごめんなさい。

 これまで私は就職活動などで某セレクトショップオリジナルの3万円程の革靴を履いていた。至ってスタンダードな黒のラウンドトゥのストレートチップは使い勝手がよく、履いていて足が疲れることもなく、非常に気に入っていた。確かに高いもの程、素材やデザインは洗練され、そしてステッチや目付けのピッチなど細部まで職人達の技とこだわりが生き、更にはフィット感も格段に違うというのは知っていた。しかし、それはもはや嗜好の域であって実用性はさほど変わらないのだろうと、当時の私は思っていたのだった。

 ところが、その高級ビジネスシューズの洗練されたフォルムや数々のうんちくの前では靴好きとしては買わずにいられない訳で、普段スーツを着ない私は数年悩み続けたあげく、今年の春、ついに一念発起して購入に至った。

 購入したのは、エドワードグリーンのE202のチェルシー。「靴のベンツ」や「ポルシェ911のようだ」といった数々の噂に違わぬそのクオリティの高さは素晴らしい。だが、この靴にはそれ以上に注目すべき点があった。
 それは、靴を履いた時の圧倒的な安定感だ!
 最近私は運動不足から体幹部の筋肉が落ちて若干猫背気味だったのだがこの靴を履いたとたんに自然と姿勢が安定し、歩行も非常に楽になった。これまでも履いていて楽に感じる靴は多々あったが、全身から楽になる靴は初めて出会った。

 この秘密は靴の重さにある。有名な話だがグッドイヤー・ウエルト製法の靴の重さは400~500グラム程で、この重さは人が正しい姿勢で安定した歩行をする上で最適の重量とされ、約半世紀のあいだ不変だと言われている。
 そしてこの靴の足を包み込むようなフィット感にも秘密があると私は思った。というのも単に重さだけ見ればコンバースのオールスターと大して変わらないわけだが圧倒的に歩きやすさが異なる。それは特にこの202という木型は土踏まずとボールジョイント(親指と小指の付け根)、踵のフィット性を高め、その三点で足をホールドする特徴による。これに加え中底に詰めたコルクの沈み込みにより足裏の3つのアーチ(土踏まずのアーチ、ボールジョイントを結ぶアーチ、踵と小指の付け根を結ぶアーチ)のバランスを整え一歩一歩の安定した重心移動を可能にしているように感じた。

 もちろん個人差はあるが、自分の足にあった靴を履くことで姿勢のバランスが良くなる。これはまさに嗜好の域を超えた実用性。安定した姿勢による歩行は日々の生活を快適にしてくれる。

 一家の大黒柱にはずっと健康でいて欲しいもの。

 ということで、父の日のプレゼントを忘れてしまったそこのあなた! 今週末にでもお父さんと一緒に靴屋さんに出かけてみてはいかがでしょう?

column_080617_ph1

写真は、「チェルシー」。ラスト202。レザーソール。グッドイヤー・ウェルト製法。最近はよりスリムで靴先の長い82や808などのラストも日本では人気だそう。

このヒールカップのホールド感は秀逸。ちなみにヒールソールの幅が広くなる程男性的な印象を与えます。豆知識。

電車の中ではその履き心地の良さについつい足下に目がいってしまいます。ちなみに撮影は自宅にて。